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すずかけへ行こう! of Organic Crossing

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OC Report オーガニック クロッシング レポート

すずかけへ行こう!

あとりえすずかけ主催「すずかけへ行こう!」

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僕が「あとりえすずかけ」の作品に出会ったのはかれこれ4年以上前。

妻が通っていた洋裁学校から木をスライスして作った小さなボタンを持って帰ってきた。その小さな表面に宇宙人のような、動物のような、カエルのようなものが描かれています。

単純だけど力強い線。一度みたら忘れないデザイン。

ボタンという小さな画面の中に魅力がいっぱい詰まっていて「これはいいっ!」とすぐにファンになってしまいました。

そこからはご縁にご縁が重なって、僕が働くお店「手仕事屋ばんまい・やさいの広場」で展覧会やワークショップを開いてもらったり、お店で年に1回秋に開催いているお祭「どんこまつり」に出展してもらったりと、いつのまにか切っても切れない関係になっていました。

ある日、担当者の犬島さんとの会話のなかで「すずかけがこちらに来るだけではなく、すずかけに僕たちが行くっていうのもいいね!」と提案したことからスタートした企画が「すずかけへ行こう!」。

その第一回目が開かれるということでオーガニック・クロッシングとして取材させてもらうことにしました。

これは・・・宇宙船?

IMGP3756.JPG僕は「あとりえすずかけ」の作品たちの大ファンなのだけれど、いままで実際に作業所を訪れたことがありませんでした。

初めて訪れる場所に地図を見ながらウロウロ探していると、目の前に高速道路の出口が螺旋状になっている場所がある。この辺なんだけどなあ・・と地図を確認。もう一度顔を上げてみる。そしてまた地図を確認・・・・。

「・・・やっぱり・・・ここ??」

なんと!その円の真ん中ある建物が「武庫川すずかけ作業所」!?。
まるで宇宙船(Sトレック?)が地球に降り立ったような不思議な光景。
そんなちょっとした驚きから今回の「すずかけへ行こう!」ははじまりました。

武庫川すずかけ作業所内、あとりえすずかけ。

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IMGP3807.JPG「あとりえすずかけ」は「武庫川すずかけ作業所」の活動の一部。利用者さんたちは毎日あとりえで作品ばかり作っているのではなく、作業所の活動の一部として作品を作っています。

作品の中には海外でも高く評価されているものもあり、フランス・パリで開催された「アールブリュット・ジャポネ展」などに招待された人もいます。そういう場では「作家さん」「アーティスト」ということになるのですが、日常的には武庫川すずかけ作業所に通う利用者さんの一人なのです。
今回のイベント「すずかけへ行こう!」は、そういう利用者さんたちの日常的な活動や、武庫川すずかけ作業所のあとりえ以外の活動の内容なども伝えていきたい、ということからスタートしています。

そして一般的にはまだまだ「特別な場所」として意識されている作業所を、あとりえの活動を糸口に、もっと理解してもらったりオープンにしていきたいという願いが込められています。

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作業所に入ると、さっそく利用者さんの大歓迎を受けた。「こっちこっち!」と手を引かれて入った部屋では数人の利用者さんがローズマリーの葉と枝を分ける作業をしている。ハーブのいい香りが部屋いっぱいに広がっていて気持ちいい。

ここではハーブオイルを作る作業をしていて、利用者さんの状態に合わせてできる作業がきめ細かく振り分けられているのだそうだ。でもあとりえの会場はここじゃない・・・ですよね?(笑)

「みなさん、会場は三階で~す。」

IMGP3769.JPGの声に導かれて三階へ。今回の参加者は僕を除いて5人とあとりえのお手伝いをしている方とお子さんを加えた7人。受付をしたあとそれぞれの自己紹介。参加者の内3人は以前からの知り合いでした。すずかけとはご縁がつながっているとは思っていたけど、本当に世界はせまいです。

「じゃあ、はじめましょ~。」

と担当の犬島さんが道具や染料の説明をしてくれました。「道具や染料の使い方なら知ってるよ!」と思って聞き流してしまうことなかれ、ここにも作業所独特のアイデアや工夫があっておもしろいのです。

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絵の具のボトルは誰でも持ちやすい形で、荒く置いても倒れにくいように下が太くなっていました。利用者さんによっては力加減を調整しにくい人もいるので、握力の強い人は先が細くなったもの、弱い人には太くなったもの、など利用者さんのことをよく考えられたつくりになっています。

みなさんが使う「筆」もそれぞれ専用のものがあります。細かい線が得意な人、太くて力強い線が好きな人など好みはさまざま。学校の授業などであればみんな同じモノを使うのが常識だけれど、ここではみんな違うものを使います。ひとりひとりの性格や身体能力に寄り添っているからこそできるこういう配慮は、ちょっとしたことなのだけれど、とても大切なことだと感じます。


IMGP3771.JPG一通り道具の説明をしてもらったら早速作業に取り掛かる。今日はすずかけのみなさんが手ぬぐいにあらかじめ手書きしてくれた絵に色を付けて完成させよう!という企画。


そしていきなりここが第一関門!
というのも用意していただいた手ぬぐいの中から一枚を選ぶのが大変。なぜかというと「全部個性的で、全部いい!」から。みんなうれしい悲鳴をあげながら自分のお気に入りの一枚を選んでいました(笑)

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なんとか決めることができたら、あとは色付けをめいっぱい楽しみましょう!どんな手ぬぐいができあがるのか、楽しみ楽しみ。

あとりえのみなさん。

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参加者が作業しているまわりでは、あとりえすずかけのみなさんもいつもと同じように作業をしていた。利用者さんと参加者が一緒に作業するというのも「すずかけへ行こう!」のテーマのひとつ。すずかけTシャツでおなじみの利用者さんたちがどうやって絵を描いているのか見ることができて興味深い。

IMGP3776.JPG一度見たら忘れない動物や魚たちを描くたくみくん。図鑑をパラパラと素早くめくりながら、気になった魚を次々と書いていきます。見ていると一匹書き終わるまでの時間がとっても短い。書いたら次、書いたら次とどんどん書いていきます。描かれた魚たちはどれも目がきょとんとしていて、ちょっと気が抜けているように見えるところがほのぼのしていて楽しい(笑)。

IMGP3784.JPGすずかけでもひときわ体の大きな伊東さん。体は大きいけれど描くものはなぜかとても細かい!細かい四角をどんどん書いていきます。その作業をじ~っと見ていると、担当者の垂井さんが「伊東さんの四角には全部モデルがあるんですよ~」と教えてくれました。本当ですか!僕にはほぼ同じ四角に見えるけど・・・と思っていると

「じゃあ質問してみましょう。伊東さんこれはなんですか?」


すると伊東さんは受け取ったボードになにやら書きはじめてくれた。いつもこうやって筆談でコミュニケーションをとっているということだった。

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書かれた文字は「オート?」。次にトースタ、オーブン、レンジ・・・って、あっ、もしかして目の前にある、あれのこと??

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これっ、電子レンジ!確かに四角い。なるほど~。こうやって物語を知ると全部同じように見えていた伊東さんの描く四角が、全部違って見えるようになってきました。この四角はもしかしてあれかな?こっちはあれかも、と想像しながら見るのも楽しい。

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とっても明るい西本さんは、あとりえのムードメーカー。誰よりも太い線で豪快に書くのが得意。というわけで西本さん専用のとっても太い筆がある!それでザザッザッっと勢いのある線を描き、色も迷うことなくどんどん塗っていく。色彩も明るくてハツラツとしています。

と言ってるそばから、あっという間に一枚書きあがってしまいました~。と思ったらすぐに次の作品に。本当に迷いがありません!

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太い線が得意な西本さんとは対照的に、ことえさんは細い線で小さな輪をずっと描いています。上のほうから順序よく、スッスッスッっとテンポ良く。ひとつひとつの輪は小さいけれど、それがたくさん集まるとスゴイ迫力!最後には全面緑色の輪で満たされていました。

こうやって見てきても利用者さんの描く作品はみんな個性的で、みんな違っています。これって当たり前のようで、みんな同じことが求められる世の中ではなかなか難しいこと。でも本来、みんな違っているのが当たり前で、みんな同じを求められる世の中の方が間違っているんじゃないかな?と個人的には感じます。

「みんな違っている」ということを認めあって、それぞれが一番得意とすることをのびのびとできる世の中になったなら、もっと夢や希望に溢れた世界になるんじゃないかな。

さあさあ、そうこうしているうちに参加者のみなさんの作品もできあがってきました。

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わ~、利用者さんに刺激されてか、こちらもなかなか個性的!全員感じが違っていました。お見事。本当に自分だけの一枚が完成しました。

あとりえ、じゃないすずかけ作業所。

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手ぬぐいを仕上げたあとは、作業所スタッフの安田さんに武庫川すずかけ作業所の中を案内していただきました。
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最初にご紹介したハーブオイルを取り出すためのハーブを屋上で育てたり、印刷のミスプリントの印刷面と台紙の紙の部分を分ける作業、クッキーを焼く工場の見学、和紙を漉く職人さん(和紙を漉くことができるのはなんと一人だけ!)の作業の見学、陶器を焼く釜のあるスペースの見学など、あとりえ以外の幅広い武庫川すずかけ作業所の日常を垣間見ることができました。

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その作業も個人の性格や身体能力に合わせて振り分けられていて、大人数が苦手な人は個室で作業する、文字の読めない人には写真でコミュニケーションを図るなど、さまざまな工夫がちりばめられていました。
クッキーの工場ではあとりえの作家さんの一人がめちゃくちゃ段取りよくお菓子を焼く作業をしていてビックリ!本当にあとりえは作業所の活動のなかの「一部分」なのだということが理解できました。

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最後はすずかけのティーカップ(いまは製作していないので復活してほしい!)に入れていただいたおいしいお茶をいただきながら、すずかけクッキーをいただきました。すずかけスタッフのみなさんもアットホームで楽しい方ばかりで。最初から最後まですずかけ三昧の1日にみなさん大満足でした。

すずかけの魅力。

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今回の「すずかけへ行こう!」を通して、作業所の人たちはそれを専門の職業としているアーティストと違い、日常のなかの一部分として絵を描いたり作品を作ったりしているということが理解できました。

僕たちにとってすずかけのことを知るきっかけは個性的な作品だったり、かわいい木のボタンや手ぬぐい、Tシャツだったりします。

だから彼らのことを作家さんやアーティストとして意識してしまいます。それはある意味自然なことかもしれません。

だけど作業所の担当者の人たちにとって、アートは利用者さんの一部分でしかなくて、それ以外にも良いところがたくさんあることを知っている。そしてその人が一番できることを探した結果としてアートにたどり着いたということなのだと思います。
世界的にアウトサイダーアートへの注目が集まり、フランスのアールブリュットなどで取り上げられ、彼らの作品が「アート」として取引され始めている今、この差が利用者さんにとっても、作業所の担当者のみなさんにとっても大きな負担となり始めているような気がします。

そんななか「すずかけへ行こう!」を通して、あとりえで作品を作るみなさんの日常を知り、身近に感じれらたことはとても大きな意味があります。僕はすでにあとりえすずかけの作品を見ると「あ~伊東さん、コメント面白い~(笑)」とか、「西本さん、やっぱり明るいね!」というようにみなさんの顔が浮かんで楽しくなります。
それがきっと、とても大切。

次回「すずかけへ行こう!」開催の際には、大好きな作品を描く「あの人」に会いにぜひみなさんご参加ください。


今回取り上げた「あとりえすずかけ」の作品は、オーガニッククロッシングの活動にも賛同していただいている下記ショップで手に取ることができます。どこも志のある素晴らしいお店です。

大阪府

(有)手仕事屋「ぎゃらりぃ手しごとや」
〒563-0024
大阪府池田市鉢塚3丁目15-5A
電話:072-761-0064
営業時間:11:30~16:00

「ぎゃらりぃ手しごとや」では7月5日~8月8日まで「すずかけ展」を開催中です。あとりえすずかけの作品たちに会いにぜひご来店ください。
8月6日にはあとりえすずかけのみなさんと一緒にランチバックを作るワークショップが開催されます!すごく楽しいのでぜひご参加ください。

大阪府

いるふ。
〒530-0047
大阪市北区西天満4-9-2 西天満ビル1F 112号室
電話:06-6362-2517
営業時間:11:30~19:00
定休日:日・月・祝 不定休

お近くにお店がない場合はオーガニッククロッシングまでお問合せください。

お問合わせはこちらから。

「Organic Crossing オーガニッククロッシング」は、現代を見る鋭い視点と社会的なバランス感覚を持ち、誠実に活動する人たちを取り上げていきます。

個人の利益だけでなく、社会的な利益を考え、賛同してくれる人たちと協力・切磋琢磨しながら、自分たちの生きる今をおもしろく、豊かなものにするとともに、いまのこどもたちが生きる未来へ大切なものを伝え、残していくキッカケになればと考えています。
今後ともよろしくお願いいたします。

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OC Report あとりえすずかけ主催

「すずかけへ行こう!」参加レポート

個性的で魅力的。大胆で繊細。多様で多彩。「あとりえすずかけ」の作品たちに接するとみんな大好きになってしまいます。「ほー!」と感心するモノもあれば「フフフっ」と笑ってしまうモノまで、その作品たちから湧き出す魅力は、たくさんの人たちをハッピーにしています。ではこの作品たちはどんな場所で、どんな人たちから生まれているのか?あとりえすずかけが主催した「すずかけへ行こう!」に参加してきました。

「すずかけへ行こう!」の記事はこちらから。

IMGP3784.JPGあの作品の、あの人に会いに。

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